薬草とお経


こーさんは、カンボジアの薬草【タナム・クマエ】に夢中です。
もとより、伝統療法や民間療法が好きなひとですが、村で知り合いのおばあちゃんが
タナム・クマエに詳しいと聞いたら学ばずにはいられない…!

このおばあちゃん、ドープラッばあちゃん。

内戦が始まったロンノル時代に整体と薬草について学んだ経験があり、
当時は薬草を蒸留して注射薬として使ったり、中国にも薬を売ったそうです。
子ども11人も産み今は61歳ですが、今まで病院にかかったことはなく、
生理や周産期の不調時もすべてタナム・クマエを飲んで体調を整えてきたそうです。

話をしている間に、ドープラッばあちゃんに整体をしてほしいと訪ねてきた近所のおじいさん。

このおじいさんから、薬草を仕込むときに唱えるお経まで教わってしまいました…
薬草をただ調合して煎じるのでなく、出来上がった薬草にお経を唱え魂を込めると、
薬草が力をもち効果を発揮するそうです。

私が少し前、婦人科系で少しだけ調子が悪かったので、
こーさんがドープラッばあちゃんにきいて効くといわれる薬草を、村を回って探してくれました。

夜、その薬草を私のために煎じて、出来上がった薬草茶に、
お線香をあげ教わったお経を唱えるこーさんをみて…
この村の人々のなかには神がいるんだなとさとった。宗教だけの違いではなく、
災いや呪い、幸せ、幸運…そういったみえない世界の力を信じ、対峙し、生きているんだ、これからも年を重ねていくんだ、と日本との違いをみたような気がした。こーさんもそうなんだ。
死に対しても、来世に対しても、生き方全体にたいして、それがあるとないとの違いはきっとものすごく大きなことだ。