牛車にのって

こーさんのおじさんが牛車にのせてくれることになった。

アンコールワット時代からある池まで連れていってくれるというのだ。

朝日を池のほとりで見るから早く起きるように、とこーさんが寝る前に言ったけど、起きたらすでに6時半。辺りはもう明るい。


きうときりと、こーさんと四人で牛車に乗せてもらって出発。牛2頭が牛車をひっぱり、カタカタと村の道を走る。

おじさんが「うー、うー」と低いうなり声と細い小枝でピシピシと軽く牛の身体をたたいて、牛を操縦する。
牛は穏やかに歩いていく。
最初は家々の間を通っていたのだけど、橋をわたり、次第に家がなくなり、田んぼの中の道になった。
といっても日本のような区画整理された田んぼではなく、道や隣の田んぼと明確な仕切りはない。
乾季はどこを歩いてもいいのだけど、雨季用に一応あぜ道らしい道もある。

出発して30分ほどしたら、蓮の花が咲いている池に到着した。蓮が所々に咲いていて、池が埋め尽くされるように咲いているのではないけど、そのぶん一輪一輪の蓮のピンクが映えて美しい。

おじさんがそこにある、小さな小舟にのせてくれるという。

小舟の中には水もたまっているし、危ないからいいよと私が言っても、大丈夫だ、と、中の水を掻き出して私を一人のせてくれた。おじさんは膝より上まで水に使って舟を押してくれて、申し訳ない気持ちになった。

私は運動神経が悪くバランス感覚も悪いので、もはや微動だにせずお地蔵様のようにじっとしているしかない。

舟に乗って、近くで見る蓮の花はとてもきれいだった。




私を一度岸で下ろしたら、今度はおじさんが一人舟に乗り、さっき私がきれい、と感動していた蓮をむんずとつかみ、どんどん上にひっぱって、なんと2~3メートルの茎を採集しだした。





蓮の茎をスープにするのだ。
雷魚と一緒にスープにして、タマリンドとプラホックで味付けしたスープは田舎の味。

せっかく来たから、とおじさんは蓮の茎をたくさん採った。

みると知らない子供たちも、別の小さな舟に乗って蓮の茎を採っている。たくさん採って売るのだという。

大人だけでなく子供も本当にたくましい。

今夜の夕御飯は蓮の茎のサワースープに決まりだ。